NISAとiDecoどちらが良い
お金を貯めたいが金融商品の名前はローマ字でどんな特徴があるのかわからない。最近は銀行の利息は全然つかないけど、株や投資信託は損をしそうでちょっと怖い。そんなあなたのために、「iDeCo」と「積立NISA」をわかりやすく説明します。
iDeCoは「個人型確定拠出年金」のことです。NISAとは毎月積み立てる「少額非課税貯蓄制度」のことです。2つとも税金がかからないなど税制で優遇されていますので、その内容について
確認してみましょう。

iDeCo

現役でお仕事をしている人は、何かの年金に加入しています。厚生年金、共済年金、国民年金などがありますが、これらを公的年金といいます。公的年金で受け取れる年金額は夫婦で約12万円~32万円程度です(独身の方はその半分になります)。
リタイア後の生活費は夫婦で月約26万円が平均的な生活、少し余裕のある暮らしになりますと37万円と言われています。公的年金の12万円~32万円との差額を埋めるのが貯蓄または個人年金です。
iDeCoは個人型年金ですから、自営業・会社等に勤務の区別なく加入できます。その特徴は次の通りです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の特徴
1)投資する商品を自分で決めることができます
定期預金・投資信託・保険商品の中から自分で選ぶことができます。安全を第一に考える人は定期預金、少 しリスクをとっても運用リターンを求める人は投資信託というような例です。
2) 運用益はすべて非課税です。(今は、利息・配当・株式の譲渡益すべて約20%の税金がかかります)
3)年間の掛金はすべて所得控除になります。
月3万円の場合は年36万円、税率20%の場合は7.2万円の税金が戻ります。(年末調整で)
4)受取は3つの方法があります。
60歳で一時金受取
60歳から年金受取
60歳から年金と一時金併用
5)受取の税優遇があります。
一時金受取 退職所得と同じ扱い 退職所得控除
年金受取 公的年金控除
ideCoには上記のような特徴がありますが、留意しなければならない点がいくつかあります。
iDeCoの注意点

1) iDeCoは年金ですから、原則60歳まで資産を引き出すことはできません。
2)運用商品によっては元本を下回るリスクがあります。(預金型はノーリスク)
3)口座開設手数料、口座管理料、年金受取時は給付手数料がかかります。
口座管理料は扱い金融機関によって差があるので、注意が必要です。
4)加入期間年数によって受取開始年齢が変わってきます。
例 10年以上 60歳
8年~10年 61歳
5)所得税の非課税の場合は所得控除の特典は受けられません。
6)加入者によって、拠出できる掛け金の金額に差があります。
月額1.2万円~6.8万円
以上がiDeCoの特徴と留意点です。加入に際しては勤務先で加入している企業型の確定拠出年金がある場合もありますので、よく確認することが必要です。また金融機関によって、選べる商品や手数料にも差がありますので、自身が納得できる金融機関と商品を選ぶことが、大切です。
積立NISA(少額非課税貯蓄制度)

積立NISAは今年(2018年)始まった新しい非課税の貯蓄制度です。積立式でない一般NISAはすでに2014年から始まり約1000万人近い利用者がいます。従来からの制度は年間120万円の枠内で株式・投資信託を5年間運用できる制度です。
積立NISAは年間40万円の枠内で毎月積み立てした資金で投資信託を購入する制度です。年齢制限や払い戻しについての制約もありませんが、非課税の原則は適用されており、自由度の高い金融商品です。
積立NISAの特徴
1)運用益・分配金が非課税
投資信託は購入価額があり常に価格変動しますが、分配金と売却時の価格上昇による利益は非課税 になります。(反対に、価格下落の損もあり得ます)
2)一般NISAの非課税期間は5年間ですが、積立NISAは20年間非課税が適用されます。
20年間、年40万円の積み立てを続けると800万円を非課税で貯めることができ、再投資型の商品 を選ぶと複利運用が可能になります。
3)対象商品は金融庁が指定した投資信託145本とETF3本であり、積立を始めるに際してある程度の 安心感と銘柄選択の利便性があります。(市場には6000本の投資信託がありますので、選ぶのは 大変です)
4)払い出しが自由ですから、積み立てた資金は様々な目的に使えます。
5)積立金融機関への支払い手数料は発生しません。
積立NISAの留意点

1)投資信託ですから、元本保証は無く、分配金も変化します。(増えることもあれば減ることもあります)
2)積立金は所得控除の対象にはなりません。(iDeCoとの大きな違いです)
3)開始時の手数料は不要ですが、投資信託毎に信託報酬がかかっています。月間の積立枠の中で商品を選ぶ 際に信託報酬額を確認することが必要です。年1%前後ですが率の良否は一概に言えません。
4)商品選びには分散投資の考え方が大切ですから、バランス型の商品を選ぶ又は自身で商品を選ぶ際にリス ク分散のバランスを考える必要があります。
iDecoと積立NISAの特徴と留意点は以上の通りですが、貯蓄する目的や年齢に合わせて適した方を選んでください。またiDeCoと積立NISAを併用するという選択もあります。
物価が全く上昇しない期間が長く続き、若い方には物価上昇のイメージが湧かない人もいるかもしれません。インフレになってからでは手遅れになり兼ねませんので、制度を賢く利用した貯蓄と公的年金にプラスしてリタイア後に備えることは不可欠な生活の知恵と言えるでしょう。