デジタル終活とID・パスワード管理

新内閣の発足とともに「デジタル」が社会のキーワードとして注目度がアップしています。
熟年・高齢者にとってもデジタルは避けて通れない時代になってきました。
とりわけ、「デジタル資産」や「デジタル終活」は身近な問題です。ここでは、デジタル終活のポイントとなるID・パスワード管理について学んでみましょう。

デジタル資産・遺品の分類


デジタル資産・遺品の中で幅広く話題となっているのはスマホのことが多いのですが、この先、世の中のデジタル化の加速と共により多くのデジタル資産を熟年・高齢者が保有することになるのは間違いありません。

その場合、経済的価値のあるプラスのデジタル資産と、支払い義務のあるマイナスのデジタル資産(デジタル負債)に2分類することができます。
例えば、以下のようなものになります。


                              (筆者が作成)

デジタル資産とデジタル負債について代表的な例を挙げました。これ以外にもデジタル資産・デジタル負債ともに、さまざまなものがあると考えられます。

プラスのデジタル資産は、現に価値のある資産が現金や手元にはなくネット上にあるので、どのようにして現金化するかの問題です。
一方、デジタル負債は解約などをしないと毎月支払う必要のある債務が増えていくことになる性質のものです。

また、ここには含めませんでしたが、放置されることになるFacebookやLineなどのアカウントなども、終活時には考慮を要するものです。

デジタル資産の日常管理で絶対しなければならないこと


日常のネット活用の際に、ID・パスワードの保存モレや変更手続きで困った経験のある人は多いと思われます。

パスワード管理についてはPWアプリがあり、それぞれ便利さと安全を競っていますが、絶対ということは言えないのではないでしょうか。

ここでは、ビジネスや事業ベースでなく、個人のPC内のデジタル資産・負債の管理という前提で、経産省所管の独立行政法人、情報処理推進機構(IPA)も啓蒙している、大切と思われる4つの項目を挙げてみます。

1) IDとパスワードは適切に保管する。
すべてを記憶するのは実際的ではありませんので、敢えて紙にメモして別々の紙で保管する対策が推奨されています。

2) 使用できる文字種(大小英文字、数字、記号)全てを組み合わせ、8文字以上にする。

3)ネットカフェなどのパソコンでは、インターネットサービスにログインしないようする。
4)パスワードの使い回しをしない。自分だけのルールを決めて、変化させて作成する。
 
3) 以降はいずれも、新規にパスワードを設定される際に要求されることですが、最初の「メモにしてIDとパスワードを分ける」のところが、個人のID・パスワード管理の実際的で、かつ大切なポイントではないでしょうか。

所有者亡き後のデジタル資産


リアルの銀行預金や証券会社の口座のある人は、その銀行などの店舗に行くと、所有者が死去した場合でも継承や解約の手続きは当然可能です。
一方、ネット銀行やネット証券などは、実際の支店はなく、本社などは近くにありません。所有者が死去した後の継承や解約の手続きは相当な手間を要することになります。

ただ、口座アカウント(ID)とパスワードが分かれば、手続きに時間を要しても、相続する人に戻ることは間違いありません。
口座のIDとパスワードが分かることが決定的に重要です。

一方で、デジタル負債の場合、請求書が相続人などに届かず、金額はそれほど大きくないかもしれませんが、さらに面倒と言えるでしょう。
上の表に記載したようなデジタル負債は、本人の死亡後、引き落とし口座が凍結された場合は、支払いはストップしますが、支払い義務は残ります。

残された家族が困らないためにも、デジタル資産を所有する人には「デジタル終活」が必要と言えるでしょう。

日常のIDパスワード管理とデジタル終活


毎日のパソコン・ネット活用をスムーズにするために必要なのは、ID・パスワードの適切な保管に尽きるのではないでしょうか。
適切にIDとパスワードを保管しておくことは、日常のネット利用の場面に限らず、利用者の死去後にデジタル資産の手続きをする家族のための、「デジタル終活」にもつながります。

まとめ
デジタル機器を使いこなしていた人が突然亡くなると、家族が後始末に大変苦労をしたという話は良く聞きます。

「デジタル終活」は、ID・パスワードさえ適切に保管されていれば、問題は簡単に解決できるとも言えます。
まして、それが日常のネット活用にも便利ということであれば、まさに一石二鳥ではないでしょうか。


出典
(※1)総務省 情報通信白書平成30年版 10P
(※2)情報処理推進機構  「IDとパスワードは適切に管理しましょう」
https://www.ipa.go.jp/security/keihatsu/pr2012/general/01_password.html

2020年09月28日